こちらの日本骨粗鬆症財団のポスター(図1)とても目が引かれますよね?
2012年の調査では、大腿骨(脚の付け根)の骨折は3分に1件の頻度で発生していたそうです。
はじめに
残念ながら1度、大腿骨の骨折をしてしまうと、36%の方がリハビリテーションを頑張っても、病院退院時には骨折前のように屋外歩行ができなくなっていました。また、大腿骨の骨折をした11%の方は、反対側の大腿骨頚部骨折を受傷してしまい、その期間は1年以内の方が23%と最も多く、5年以内では63%でした。
なお、大腿骨頚部骨折の治療にかかる費用は手術費用が約54万円で、入院中の平均治療費合計金額はや約147万円であったと報告されています。しかし、これは入院中の平均治療費であり、その後、介護が必要になると,5年間で約1540万円の自己負担が必要という試算(要介護3状態で1日の介護費用が約8,440円)もあります。数字で見ると、改めて骨折はしたくないですね。
では、骨折のリスクを下げるためにはどうすべきでしょうか?そもそも、なぜ、骨折してしまうのかを考えてみましょう。
なぜ骨折してしまうのか
この図2は転倒から大腿骨近位部骨折に至るまでの流れを紹介しています。人間、ずっと転ばないことというのは限界があると思いますし、防御的に手がとっさに出たとしても、手の骨折をしてしまうこともあると思います。では、どうすべきでしょうか?図の中の「骨強度」にポイントがありそうですね。
骨強度とはなんでしょうか?骨強度とは骨の強さをいい、骨の量(骨密度)と骨の質(骨質)によって決まります(図3)。なので、骨強度を高めるには、骨密度か骨質を改善させることが重要です。しかし、骨強度が低下する(骨密度の低下や骨質の劣化)ことで、骨粗鬆症となり、骨折が起きやすい状態もしくは、すでに骨折が生じております。
骨密度を改善させる3つの治療法
骨密度を改善させるには3つの治療法があります(図4)。それは、薬物療法、運動療法、栄養療法です。この中で最も効果が得られるのは薬物療法だと思います。
それは、高齢者への様々な骨粗鬆症治療薬の内服が大腿骨近位部骨折を減少させることは知られております。これらの骨粗鬆症治療薬は種類によって値段や効果や副作用は異なりますが、骨折して手術・入院治療するよりもはるかに費用対効果があります。何を使用するかはかかりつけの先生とよく相談することをお勧めしますが、骨強度(骨密度)は体外からはわからないので、早めの対策が必要であると考えます。
しかし、骨粗鬆症治療薬を開始して、骨密度が改善するにはそれなりの治療期間が必要です。
そこで、骨粗鬆症治療薬の開始と併用して、自宅内での骨折を予防するためには「ころやわ」が重要な役割を果たしてくれるのではなないでしょうか?実際に、高齢者の転倒による骨折予防の解決策の1つにとして床があげられており、株式会社Magic Shieldsで開発された「ころやわ」はまさにその点を解決する製品だと思います。もちろん、冒頭で示した手術・入院治療費と比較しても費用対効果が得られるのは間違いありません。
おわりに
日本は大腿骨近位部骨折が年々増えております。そのため、各自が骨折をしないように運動習慣の獲得、バランスの取れた栄養摂取はもちろん、骨密度が低下した方は早めの骨粗鬆症治療の開始と自宅環境の調整(床材の検討)も考えてみませんか?
<参考文献>
日本骨粗鬆症財団ホームページ hone_info_A_20180409.pdf (jpof.or.jp) 2024/02/05 閲覧骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成員会:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版
http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf 2024/02/05 閲覧
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福島達樹 他:両側大腿骨頚部骨折の検討.整形外科53(4),380-383,2002
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萩野浩:骨粗鬆症治療の費用対効果分析.骨粗鬆症-最新の成因研究と治療動向-.日本臨床 60:645-654,2002.
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大高 洋平:高齢者の転倒予防の現状と課題.日本転倒予防学会誌3:11-20.2014
Tarbert RJ et al:. Potential Solutions for the Mitigation of Hip Injuries Caused by Falls in Older Adults: A Narrative Review. J Gerontol A Biol Sci Med Sci.78(5):853-860,2023