COLUMN

  1. ホーム
  2. コラム
  3. 介護施設や家でできる生活リハビリは?重要な理由や続けるコツも紹介《Column vol.38》

介護施設や家でできる生活リハビリは?重要な理由や続けるコツも紹介《Column vol.38》

介護施設や家でできる生活リハビリは?重要な理由や続けるコツも紹介《Column vol.38》

施設や家で介護をしている人にとって「その人らしい生活を維持してほしい」というのは共通の思いではないでしょうか。

高齢者の生活の質を維持していきたいところですが、どうやって行ったらいいかわからず何もしないままだと身体機能の低下は加速し、ますます状況が悪化してしまう可能性もあります。

そこで、この記事では、介護における生活リハビリが大切な理由や続けるコツ、注意点などを解説していきます。
また、家や介護施設でできるおすすめ生活リハビリも紹介していきますので、ぜひご参照ください。
生活リハビリへの正しい知識をつけて、高齢者の生活の質維持・向上を図っていきましょう!

介護における生活リハビリとは

施設や家での介護における、生活リハビリとは一体何なのかよくわからないという方もいるのではないでしょうか。

生活リハビリは介護において重要なものですので、ぜひ理解して実践に繋げていきたいところです。
そこで、ここからは生活リハビリの概要と種類について解説していきます。

生活リハビリとは

生活リハビリテーションとは、理学療法士等の機能訓練指導員がついて直接行う筋力や柔軟性の維持・向上を目的とした個別リハビリではなく、介護施設や家庭内で日常生活の延長線上として行うことができるリハビリのことを言います。

日常生活動作の延長線として実施できるため、個別リハビリや集団リハビリよりも気軽に取り組めるのがメリットです。生活リハビリの方法は、機能訓練指導員などが指示して決めることもあります。

掃除や料理等の家事やトイレでの立ち上がり動作、歩行訓練を兼ねた散歩などが生活リハビリに該当します。

生活リハビリの種類

生活リハビリには大きくわけて以下2種類があります。

  • ・日常生活動作(ADL)のリハビリ
  • ・手段的日常生活動作(IADL)のリハビリ

日常生活動作は、自立した日常生活を送るために必須になる動作になります。

例えば、食事や排泄、入浴や整容、移動などです。こちらの動作をできるだけご自身で継続して行ってもらうために、生活リハビリは重要なのです。

一方で手段的日常生活動作は上記で挙げた「日常生活動作」よりも更に複雑な動作のことを指します。

料理や買い物、家事や交通機関を利用しての移動、金銭・服薬管理などがこちらに該当します。

手段的日常生活動作が可能であれば、できるだけ維持していきたいところです。残存機能を利用し、手段的日常生活動作が継続できるように生活リハビリを実施していくことも大切です。

介護で生活リハビリが大切な理由

介護において、生活リハビリが大切な理由は大きくわけて3つです。
ここからは、その理由を3つ解説していきます。

残存機能の維持や向上が期待できるため

生活リハビリは、高齢者の生活動作に基づいた内容であることも多いです。

整容や家事など、これまで行ってきた生活動作が継続できるようにサポートしていくことも生活リハビリであるといえます。

これまで行ってきたことを継続してもらうために「できることは自分でやっていただく」というスタイルで支援します。

そうした支援を続けることで、高齢者の残存機能の維持が期待できるのです。

身体機能を維持するため

だいたいの人が加齢により、身体の筋力や機能が衰えてきます。身体の機能が衰えると、思うように体を動かすことができなくなるため、行動をするのが億劫になりがちです。

その結果、部屋に閉じこもりがちになり、身体機能の低下はますます進行してしまい、最後には寝たきりになってしまう可能性もあります。

そうならないように、生活リハビリで身体機能を維持することが重要になります。

生活リハビリは、身体の機能の維持・向上にも効果が期待できるため、ぜひ積極的に実施していきたいところです。

生活意欲を低下させないため

生活リハビリを継続していくと、何かしら活動する機会が増えます。
その結果、生活意欲の低下を防ぐことが可能です。

また、生活リハビリを実施し、身体機能や残存機能を維持することは、「できること」を維持することにも繋がります。

高齢者本人のできることを減らさないという意味でも生活リハビリは大切なのです。
できることを維持することで生活意欲の向上が期待できます。

介護施設や家でできるおすすめの生活リハビリ

生活リハビリとは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
継続性があり、簡単にできるような生活リハビリを介護施設や家庭でも取り入れていきたいところです。

そこで、ここからは介護施設や家でできる簡単なおすすめ生活リハビリを紹介していきます。

健康眠体操やTVの体操をする

生活リハビリの中でも体操は続けやすいです。

毎日体操をするのを忘れてしまうという方は、体操番組の時間にTVがつくようにセットをしておき、時間になったら自然に取り組むようにしておくと良いかもしれません。

また、ライオン株式会社とTANOTECH株式会社と協同開発した高齢者向けのモーションセンサー付き介護ゲーム機『TANO-LT』の活用もおすすめです。

『TANO-LT』は、ゲーム感覚で運動を楽しく続けられるような機能を搭載したゲーム機になります。中でも「健口眠体操」は、楽しく続けられる体操として多くのデイサービス等で導入されています。

『TANO-LT』公式サイト:https://www.lion.co.jp/inno/tano-lt/

体操が苦手という方は、足踏みや指折りなど簡単な動きから始めてみても良いかもしれません。

クロスワード・ナンプレ等の脳トレや遊びをする

生活リハビリとして日常の中に脳トレや手芸等の遊び時間を作るのもおすすめです。
高齢者が続けやすい遊びは以下です。

  • ・クロスワード
  • ・ナンプレ
  • ・計算問題
  • ・都道府県等のクイズやなぞなぞ
  • ・絵手紙作り等の工作
  • ・手芸

ポイントは「楽しく続けること」です。

私の祖父は、毎日ナンプレを楽しく続けていました。
高齢者の趣味に合った「遊び」を探してあげると、生活リハビリにも繋がります。

お皿洗いや洗濯物たたみなどの家事や園芸等を一緒に行う

これまでの生活で実施してきたことをサポートしながら続けていくのも大切です。
生活リハビリにおすすめの家事や園芸は以下の通りです。

  • ・料理
  • ・皿洗い
  • ・掃除
  • ・洗濯物たたみ
  • ・草いじり
  • ・野菜や花の栽培
  • ・庭掃除

栽培などは年間通して楽しめるため、生活意欲の維持・向上への効果も期待できます。
また、家事や園芸などは続けてきた方が多いため、その延長線上として実施できるような環境を作ってあげましょう。

生活リハビリを続けるコツ

生活リハビリは続けてこそ意味があります。

いくら効果的なリハビリであったとしても継続性がないものは考えものです。
しかし、継続が難しく、続けるコツがわからないという方もいるでしょう。

そこで、ここからは生活リハビリを続けるコツ3つを紹介していきます。

簡単なことから始める

生活リハビリは継続性が大切となります。
あまり高度なことを実施しようとすると毎日続けられなくなる可能性もあるため、できるだけ続けやすい簡単なものを生活リハビリとして選ぶと良いでしょう。

日常生活の「ついで」としてできるような負担の少ないものが理想的です。
高齢者に合ったもので日常で継続できそうなものを採用していきましょう。

高齢者の身体の状況や状態を理解しておく

生活リハビリを考えるうえで、高齢者の疾患や身体の状況・状態の把握は重要になります。
本人に合ったものでないと、負担が大きくなりやすかったり、効果が出にくくなったりするからです。

また、身体の状態の他、生活状況など総合的に判断して生活リハビリの内容を考えていくことも大切です。
生活リハビリの内容に迷ったら、高齢者の背景や状態・状況を伝えたうえで、機能訓練指導員等に相談してみると良いかもしれません。

必要に応じて福祉用具などを利用する

生活リハビリは、環境を整えることも大切です。

例えば、トイレの立ち上がり訓練を生活リハビリとするならば、手すりなどの設備が整っていないと実施できません。生活リハビリがより効果的に働くような環境作りを考えていきましょう。

在宅介護で福祉用具の選択に迷ったら、ケアマネージャーなどに相談してみるのもおすすめです。

生活リハビリの注意点は?

生活リハビリをするうえで注意すべき点もあります。
そこで、ここからは生活リハビリの注意点を3つ解説していきます。

無理強いをしない

まずは生活リハビリを強制しないということです。

「効果的だから絶対に行ってほしい!」という姿勢で高齢者に生活リハビリを強要してしまうと、本人が反発し逆に続かなくなってしまう可能性があります。

生活リハビリは高齢者に心身の負担なく、自ら継続できる形が理想的です。

強制するのではなく楽しく行うことを心がけ、高齢者のモチベーションを維持していくほうが継続しやすくなります。

必要に応じて見守りやサポートをする

生活リハビリはさまざまな種類がありますが、残存機能の維持を目的としているため、高齢者ご自身に「できることはやっていただく」スタンスでいることが多いです。

しかし、だからといってほったらかしにして本人に実施してもらうだけでは危険です。
生活リハビリの実施中は、転倒やトラブル等がないように、しっかり見守りや声掛け、サポートしていく姿勢でいましょう。

「一緒に行う」というスタンスで家事などの生活リハビリを行うと、安全確保がしやすい他、会話の機会もできるため、楽しく継続できるようになります。

怪我や事故に気を付ける

生活リハビリは、しっかりサポートを行わないと怪我や事故に発展してしまうかもしれません。
例えば、立位保持が不安定な方の生活リハビリとして、立ち上がり動作の訓練を実施していた場合、しっかり見守りを行っていないとふとした瞬間に転倒してしまう可能性もあります。

高齢者の安全確保を第一に考え、無理のない生活リハビリを実施するとともに、見守りは必ず行うようにしましょう。

まとめ

生活リハビリは高齢者の生活意欲にも関わる大切なことです。
楽しんで実施できるようにサポートし、継続させていくことが重要になります。

まずは高齢者の性格や疾患、身体の状態などを理解したうえで、本人に合いそうな生活リハビリを考えてみるのがおすすめです。

生活リハビリを継続させて、高齢者の身体機能・残存機能の維持や向上を目指していきましょう!
また、生活リハビリは安定性のあるマットや衝撃吸収性のある床などの環境が整っていると更に効果が期待できます。

介護施設や家で身体機能維持・向上を意識するなら、転倒予防や安定した歩行に繋がる「ころやわ」の導入もおすすめです。

歩いているときには硬く、転んだときには柔らかく吸収してくれる「ころやわ」なら、歩きやすい床で転倒予防になるのはもちろんのこと、万が一転倒してしまったときにも柔らかく衝撃を吸収してくれるため、骨折などを防いでくれます。

その他、マジックシールズでは、転倒予防に関するさまざまなセミナーを実施しています。
介護・医療現場のお役立ち知識を発信しており、過去のセミナーのアーカイブも掲載しておりますので、気になる方はぜひこちらからチェックしてみてください。