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【介護福祉士が解説】老人ホームの選び方5つ!在宅介護のサービスも紹介《Column vol.47》

2025.01.10 Fri

【介護福祉士が解説】老人ホームの選び方5つ!在宅介護のサービスも紹介《Column vol.47》

「老人ホームにお世話になりたいけど、親に合わなかったらどうしよう」「家で介護をしてあげたいけど、大変すぎて心も体も限界…」などと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

不安な気持ちばかりが先行し、介護サービスの利用を躊躇ってしまうこともあるでしょう。しかし、介護が大変な状況なのに、介護サービスを利用しないのはもったいのないことです。

そこで、この記事では、老人ホームを選ぶポイントや種類の紹介、在宅介護を支援するサービスなどを解説していきます。

介護サービスを正しく理解し、高齢者に合った老人ホームやサービスを選べるようにしていきましょう!

老人ホームを選ぶポイント5つ

老人ホームへの入所を検討する場合、事業所選びが大切です。
そこで、老人ホームを選ぶポイントを5つにまとめましたので、ここから解説していきます。

1.状況を整理する

まずは高齢者やそれを取り巻く現在の状況を整理しましょう。

整理することで、今後どのような介護サービスを利用していけばいいか検討しやすくなるためです。

例えば以下のような内容をまとめてみましょう。

  • ・高齢者の疾患や現在の状況
  • ・高齢者の性格や好み
  • ・介護の困りごと
  • ・経済状況や介護サービスの利用予算
  • ・今後、高齢者の生活をどのようにサポートしてほしいか

状況をまとめておくことでケアマネジャーにも希望を伝えやすくなります。

家族で意見が異なる場合は、事前に話し合いの場を設けて方針や認識を合わせておくことがおすすめです。

2.種類を選択する

介護サービスにはさまざまな種類があります。

介護保険適用内のサービスだけでなく、適用外のサービスもあるため、全て合わせたら多くの中から選択することが可能です。

現在の介護の状況を整理したら、希望に合いそうな介護サービスの種類を選んでいきましょう。
わかりにくい場合は、ケアマネジャーに聞くと教えてくれます。

介護サービスの主な種類については「老人ホームの種類」と「在宅介護を支援する介護サービスの種類」の章で紹介していきますので、ぜひご覧ください。

2.サービス内容や利用条件を確認する

介護サービスの種類をある程度絞ったら、今度は事業所について調査していきましょう。
気になる事業所があれば、ホームページを確認してみるのがおすすめです。

事業所のホームページでは、特に以下をチェックするようにしましょう。

  • ・運営方針や理念
  • ・提供しているサービスの内容
  • ・利用条件
  • ・食事のメニュー例

介護施設の種類によっては、サービス内容がどの事業所でもさほど変わらないこともあります。
しかし、レクリエーションや食事メニューは事業所によって異なります。

また、高齢者の性格によってレクリエーションの内容等が不向きな可能性もあるため、事前に確認しておくことが大切です。

3.口コミを調査する

老人ホームを選ぶときのポイントの一つが口コミを調査することです。

事業所の内情は、実際に利用した人でないとわからない部分があるため、チェックすることで雰囲気を把握することができます。

例えば、老人ホーム検索サイトやGoogleの口コミを確認すると良いでしょう。

また、利用者や家族の口コミだけでなく、介護職員が記載した口コミも覗いてみるとより詳細な情報が確認できる可能性があります。

介護職員向けの口コミは、介護の転職サイトなどで確認できます。

ただし、悪意で悪い口コミが書かれている可能性もあるため、鵜呑みにせずあくまで参考程度に留めておくようにしましょう。

その他、近所の人や友人にも聞いてみると、最寄りの評判の良い事業所がわかるかもしれません。

4.費用をチェックする

介護サービスを継続して利用していくためには、利用料金が予算内に収まるかも大切なポイントです。

介護保険適用内のサービスを利用する場合は、自己負担額が1割になります。(一定以上、所得者の場合の負担は2割か3割)

ただし、利用料金の中に、居住費や食費、日常生活費などは含まれないため、こちらは自己負担する必要があります。

また、介護保険には一カ月ごとの限度額があり、それを超えて介護サービスを利用した場合は全額自己負担となりますので注意が必要です。

出典:厚生労働省「介護保険の解説ーサービスにかかる利用料」

各事業所の利用料金について詳しく知りたい場合は、事業所に問い合わせるかケアマネジャーに確認するのが良いでしょう。

老人ホームの種類

老人ホームには複数の種類があります。
高齢者の置かれた状況や希望によって、利用すべき介護施設の種類は変わります。

高齢者に合った老人ホームを選択するためにも、それぞれの種類を理解しておきたいところです。
そこで、ここからは、老人ホームの主な種類と簡単な特徴について紹介していきます。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、要介護3〜5の方が利用対象である介護施設です。

公的施設であることから費用が比較的安く、人気が高いのが特徴です。

特別養護老人ホームの選び方について、詳しくは以下の記事をご参照ください。

介護老人保健施設

介護老人保健施設は、在宅復帰を目的とし、一時的に入所するための介護施設です。

医療サポートやリハビリなどが充実しているのが特徴です。

介護老人保健施設について、詳しくは以下の記事をご参照ください。

有料老人ホーム

有料老人ホームは、住宅型や介護付き、健康型など3つの種類がある介護施設です。

特別養護老人ホームのような縛りが少なく、事業所側が方針や利用条件などをある程度自由に決められるため、幅広い層の人が利用できるのが特徴です。

有料老人ホームについて、詳しくは以下の記事をご参照ください。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、「介護型」と「一般型」の2つの種類がある介護施設です。

有料老人ホームと同様に、事業所側が方針や利用条件などをある程度自由に決められるため、特別養護老人ホームよりも幅広い層の利用が可能です。

サービス付き高齢者向け住宅について、詳しくは以下の記事をご参照ください。

グループホーム

グループホームは、認知症対応型の介護施設です。

認知症ケアに特化しており、定員9名以下の少人数制で家庭的な雰囲気の中、介護が受けられます。

グループホームの利用条件は、以下です。

  • ・要支援2~要介護5の認定と認知症の診断を受けている
  • ・施設と同じ市区町村に住民票がある
  • ・集団生活に支障がない

グループホームでは、認知症の進行予防や自立支援として、機能訓練や生活リハビリに力をいれています。認知症の方が安心して過ごせるような環境が整えられ、安心して介護ケアを任せることが可能です。

在宅介護を支援する介護サービスの種類

老人ホームへの入所ではなく、できれば在宅介護を続けながら介護負担を減らしていきたいと思っている人もいるのではないでしょうか。

また、介護サービスを利用して家から外に出ることで、社会参加のきっかけにもなりますので、高齢者が引きこもりがちになって心配している場合は特に利用の検討を前向きに考えていきたいところです。

在宅介護をサポートしてくれる介護サービスもさまざまな種類があります。
そこで、ここからは、在宅介護をサポートしてくれる主な介護サービスの種類を紹介していきます。

ショートステイ

ショートステイは、短期宿泊ができる介護サービスです。

在宅介護で夜間に困っている、また入所の前段階として施設環境に慣れておきたいという人に向いています。

ショートステイについて、詳しくは以下の記事をご参照ください。

小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護は、訪問・通い・宿泊を組み合わせた介護サービスです。

一つの事業所で訪問介護サービスやデイサービス、ショートステイを組み合わせて利用できるのが特徴です。

小規模多機能型居宅介護について、詳しくは以下の記事をご参照ください。

訪問介護

訪問介護サービスは、高齢者の自宅に介護スタッフが訪問し、主に1対1で身体介護や生活支援をします。

身体介護だけではなく生活支援として、掃除や洗濯、調理などのサポートが受けられるのが特徴です。

訪問介護について、詳しくは以下の記事をご参照ください。

デイサービス

デイサービスは、日中に事業所に通って介護ケアを受けることができるサービスです。

送迎から入浴介助、リハビリやレクリエーションまでさまざまな介護サービスを受けることができるのが特徴です。

デイサービスについて、詳しくは以下の記事をご参照ください。

【事例】介護サービスを選んでよかった体験談

私の祖母ですが、介護サービスの選び方に成功した一人です。
祖母は90歳で娘である母とその夫である父と暮らしています。

祖母は前向きな性格ではあるものの、辛いことがあると深く落ち込んでしまう性格でした。
最近、古くからの友人や長く連れ添った夫である祖父を亡くし、そのショックから部屋にふさぎこむようになってしまいました。

食欲も安定せず、何も食べられない日々が続きました。
そんな祖母を心配した母は、地域包括センターに相談。

祖母は狭心症を患っていたり、精神面で食事が安定しなかったりすることから要支援1の認定を受けました。

そこからデイサービスに通うことを決意。
近所で評判のよいデイサービスへの利用を希望し、ケアマネジャーさんに相談しました。

最初は渋っていた祖母でしたが、デイサービスに行ってみると同じように家で過ごす高齢者が大勢いて会話が弾み、楽しい時間を過ごしているようでした。

また、介護職員さんとの波長が合い、過ごす時間が心地よいとも言っています。

「デイサービスの食事は美味しい。認知症のお年寄りがいるんだけどいつも私が話を聞いているの」と嬉しそうに話す祖母。

連絡ノートには「〇〇さんにはいつもお世話になっています。休まれると困っちゃうのでまた来てくださいね」と記載されていました。

世話や褒められるのが好きな祖母は、他のご利用者様に配慮する姿を介護職員に喜んでもらえることが嬉しかったようです。祖母の性格を把握して介護職員さんがそのように記載してくださったのだと思います。

デイサービスに通うようになってから、部屋でふさぎこむことはなくなりました。介護サービスの利用で大切なのは、高齢者本人に合った事業所を選ぶことです。

この経験を通して、介護職員さんとの相性も重要なのだと改めて感じました。

介護サービスについてのよくある質問

介護サービスを利用したことがない人は、まだ知りたいことは多いでしょう。

そこで、ここからは介護サービスについてよくある質問をまとめました。

質問を元に、その回答を介護福祉士が解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

介護サービスの利用方法は?

介護サービスを利用したい場合の基本的な流れは以下になります。

  1. 1.要介護認定を申請する
  2. 2.主治医の意見書を依頼する
  3. 3.認定調査を実施する
  4. 4.審査判定を待つ
  5. 5.認定通知書が送られてくる
  6. 6.担当ケアマネジャーが決定する
  7. 7.ケアマネジャーと相談しながら介護サービスの利用を開始する

出典:厚生労働省「介護保険の解説ーサービス利用までの流れ」

介護保険適用内のサービスであれば、利用の前に要介護認定を受けている必要があります。

要介護認定の申請などについては、地域包括支援センターに相談すれば代行したり、わかりやすく説明してくれたりします。

介護サービスを使いたいと思ったら、まずは地域包括支援センターに相談するのがおすすめです。

ケアマネジャーと合わない場合はどうしたらよい?

担当ケアマネジャーと相性が良くないということもあります。
例えば、以下のようなケースは考えものです。

  • ・希望を聞き入れてもらえない
  • ・意見を言いにくい
  • ・態度が気になる
  • ・連絡がつかない
  • ・必要な情報を共有してもらえない

こういった場合は、ケアマネジャーを変えてもらう、または居宅介護支援事業所に連絡して指導してもらうという方法があります。

ただし、コミュニケーションがうまくいかないという場合は、家族側の「上手く希望を伝える工夫」も大切です。

なぜなら、コミュニケーションがうまくいかない理由は、ケアマネジャーに上手く「希望」や「想い」が伝わっていない可能性があるからです。

高齢者の状況や本人の好み、できること・できないことなどの情報を整理し、合いそうな事業所を調査したうえで、希望を明確に伝えていくとケアマネジャーとのコミュニケーションが改善されることもありますので、ぜひお試しください。

介護で困ったときはどこに相談すれば良い?

介護で困ったときは、地域包括支援センターに相談するのがおすすめです。

最寄りの地域包括センターをインターネットなどで調べてみましょう。

いきなり行くと、場合によっては対応してもらえない可能性もあるため、事前に電話でアポをとっておくとスムーズです。

介護で困ったときに相談できる機関については以下の記事をご参照ください。

高齢者に合った介護サービスを選択しよう!

高齢者に合う介護サービスを選択するためには、それぞれの種類の特徴を理解することが大切です。

記事を参考に、老人ホームや在宅介護サービスの理解を深め、希望に合う事業所を選択できるようにしましょう。

高齢者の特徴や状況を整理し、地域包括センターに利用の相談をしてみるとスムーズです。

また、現在介護サービスの利用を検討している段階でまだ利用されていない人、または介護サービスを使いつつ在宅での介護を続けていこうと考えている人もいるでしょう。

高齢者と一緒に暮らす、または高齢者の一人暮らしをサポートしていくなら、自立した生活の維持のために身体機能の低下予防にも着目していきたいところです。

転倒事故により身体機能が低下すると、引きこもりや寝たきりの原因になり、生活力が下がってしまう可能性があります。それを防ぐためには、屋内環境にも配慮が必要です。特に床材は転倒事故において重要な要素の一つとなります。

歩いているときには硬く、転んだときには柔らかく吸収してくれる「ころやわ」なら、歩きやすい床で転倒予防になるのはもちろんのこと、万が一転倒してしまったときにも柔らかく衝撃を吸収してくれるため、骨折などを防いでくれます。

ころやわや、安全性の高い福祉用具を選択し、在宅でも高齢者と安心して過ごせるような環境を整えていきましょう。

この記事を監修しました

中村 亜美

中村 亜美 / 介護福祉士・フリーライター

専門学校の卒業と同時に介護福祉士を取得し、そこから計12年程、特別養護老人ホームで介護スタッフとして勤務。現在は、フリーライターとして、在宅介護者や介護スタッフ、事業者向けのコラムなどを執筆している。(株)Magic Shieldsのコラムでは、介護施設内の課題解決などに着目し、経験を踏まえながらわかりやすい記事の作成を目指している。

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