「ころやわ」を使ってみて
ー 里見様、本日は宜しくお願い致します。導入に至るまでの経緯を教えていただけますか?
看護部長が学会に参加した際に紹介されたようで、非常に良い商品があるよという報告を受け、資料を確認しました。医療安全の立場からも一度使ってみて判断したいと思い、サンプル品を取り寄せたのがきっかけです。
ー 貴院では転倒に対してどんな課題があったのでしょうか?
里見様:
当院は高齢者が多く、リハビリにも力を入れているのですが、認知症の患者さんもいますし、自分で動かれて転倒されるケースが増えていたんです。
それでも、患者さんのADLを上げていくためには、自由度を上げて行動範囲を広げていかないといけないという課題を持っていました。
そんな中でころやわを知って、セラピストや各病棟のリスクマネージャーに集まってもらい、相談をした上で購入することを決めました。
まずは今回導入したものを各病棟で使いながら、しっかり評価をした上で、必要な数を検討していきたいと考えています。
ー なるほど。転倒転落対策についての方針やお考えをお聞かせください。
里見様:
3年前に医療安全の担当になったころは、できる限り転倒転落の「予防」をしたいと思っていました。患者さんのご家族にも「病院ができる最善の対策を取っています」とご説明をして、センサーが鳴ればすぐに駆け付けて支援できる体制を取ることを目指していました。 しかし実際は、看護師の人数も限られており、夜間はその人数がさらに少なくなり、センサーが鳴って急いで駆け付けても、すでに患者さんはベッドサイドにしゃがんでいることもあり、どうしても防ぎきれないことがありました。
里見様:
外傷の中でも特に骨折が発生してしまうと、回復期の患者さんであれば、また急性期に戻って手術になってしまいます。
患者さんのご家族も不安になりますし、発生させてしまった看護師の精神面のケアも必要になります。
そういった実態に直面する中でころやわに出会ったこともあり、予防も大事だけれど、転んだとしても大きな外傷につながらないことも同じように大事だ、と私自身の考え方が徐々に変わっていきました。今後は、従来の発生予防としての対策だけでなく、防ぎきれない事故に対する外傷予防としての対策をさらに検討していきたいと思っています。
ー 病院内での様々な課題の中で、転倒転落対策はどういった位置づけでしょうか?
里見様:
医療安全の観点からすると、薬剤関連と転倒転落の2つは常に重点取り組み課題です。また転倒転落による外傷も防いでいく必要があります。
転倒転落に関しては、補助具やセンサーなどの安全装置を使っていますが、これらは患者さんを支援して、ADLを拡大していくためのものだと捉えています。したがって、ADLも高めつつ、転んでも大きな外傷が起こらない環境づくりを目指していきたいと考えています。
里見様:
現場では、仮に転倒が起こっていたとしても、すぐに察知して駆け付けるのが難しい場合もあります。当院では転倒転落に関するラウンドを行って、転倒転落の発生状況の把握だけでなく、ころやわを導入したことでどれだけ効果があったか、どういった患者さんに使うと効果的かといったことを評価して、対策を進めていく予定です。
「ころやわ」を導入してからの様子
ー ころやわを使ってみてのご感想をお聞かせください。
里見様:
商品に関しては、標準のサイズではなく、ベッドサイドのスペースに合わせたサイズのものを特注で作ってもらったこともあり、使いやすかったです。3辺にスロープがありますが、車いすの昇降もしやすく、セラピストからはリハビリがしやすいという声を聞いています。ころやわは見た目も良いですし、汚れても表面を拭き取るだけでキレイにできるという清掃のしやすさも評価しています。
実際にころやわを使っているのは、80-90代の整形外科手術後の方です。特に転倒歴がある方には積極的に使っています。各部署にころやわを設置して、回復期リハビリテーション病棟では2台稼働しています。地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟においては、リハビリをどんどん進めていかないといけないので、そういったところで使用するのが効果的だと考えています。
ー 具体的に、どのような対策として導入いただいたのでしょうか?
里見様:
リハビリを進めるなかで、ご自身で移動してもらったり、荷重制限があって見守りでトイレへ誘導したりするときの転倒対策として導入しました。
これまではベッドサイドの対策として衝撃吸収マットを敷いてました。ただ、衝撃吸収マットは薄いので、ご家族に勧めるときにも「骨折予防効果が十分にあるわけではないですよ」ということを説明していましたし、軽くてすぐにズレてしまうこともあって、敷くエリアも限定的でした。
さらに回復期リハビリテーション病棟では、車椅子へ移乗するところからリハビリが始まりますが、衝撃吸収マットを敷いたままでその上を歩いたり、スタッフがマットに乗った状態で動作をしたりすることはありません。ころやわであれば、床に敷いたままその上で動作ができますし、そこで患者さんがバランスを崩しても安定感があるという面で、セラピストにとっても安心感があるようです。
里見様:
いまのところ、実際にころやわの上で転倒した方はいないので、そういう意味での効果はまだ測定できてはいません。今後、各病棟のリスクマネージャーには継続してヒアリングし、効果を測定していきたいと思っています。
※インタビュー後に里見様からメールがあり 「現在のところ、患者様がころやわ上で3回転倒しているが外傷なく経過している」と報告をいただきました。