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《Column vol.03》転倒対策に有効な福祉用具『手すり編』

2023.09.04 Mon

《Column vol.03》転倒対策に有効な福祉用具『手すり編』

福祉用具の手すりのメリット

高齢者の転倒対策として、代表的なものが「手すりの設置」です。

例えば、患者様の退院時に理学療法士や作業療法士が手すりの設置を勧めることもあれば、ご家族やご本人が歩行の不安定さを感じて希望されることもあります。この時、高齢者ご本人やご家族の頭に思い浮かんでいるのは、“工事をして壁に手すりを取り付けること”だと思います。

要介護認定を受けている高齢者が対象であれば、介護保険を利用した住宅改修に「手すりの設置」も含まれるので、負担額が少なくて済みます。
しかし、安易に手すりを取り付けてしまうと思いがけない落とし穴があります。

  • ・一度取り付けてしまうと、高さや位置の修正に手間とコストがかかってしまう。
  • ・将来、車いすが必要になった時に、廊下の手すりが車いす走行の妨げになる可能性がある。

このような手すりを設置した後に後悔しないためにも、利用される方の使いやすい位置にあるか、今後車いすを使用する可能性があるかなどを理学療法士や作業療法士、福祉用具専門相談員へ相談してから手すりを設置することをオススメします。

また、高齢者は急に足腰の衰えを感じることや、風邪などで数日寝込んだだけで歩行や立ち上がりが不安定になることがあります。

そういう時は「できるだけ早く手すりが欲しい!」と、スピード感を求められますが、手すりの設置を施工業者に依頼すると、見積もりや工事の日程調整に時間がかかります。

このスピード感に対応できるのが、福祉用具の手すりです。要介護認定を受けている高齢者の場合、レンタルで利用することも可能です。

レンタルで対応できる手すりは多くの種類があり、形や持ち手の材質などもさまざまです。また、そのほとんどが取付工事が不要かつ、高さ調整が可能なので、即日設置や高さの微調整がその場で簡単にできます。

ここからは、転倒対策として有効な福祉用具の手すりを紹介していきます。

置き型手すり

1つ目は、置き型手すりです。これは脚部がベースプレートと言われる鉄板についていて、鉄板の幅さえ許せばいろんな場所に置くことができます。多くのメーカーからリリースされており、使用場所によってベースプレートの幅や手すりの長さが異なります。もちろん、どのタイプでも持ち手の高さ調整が可能です。

また、歩行補助用だけでなく、ベッドやイスの横に立ち上がり補助用として使われるタイプもあります。

「床に置くだけでは引っ張った時に不安定じゃないのか?」と、心配される方もいらっしゃるかもしれません。確かに、商品の形状上、上から下に押さえるように支えていただくのが望ましいのですが、歩行時には使用している本人がベースプレートの上に乗っていることになるので、多少引っ張っても倒れることはありません(ベースプレート自体も見た目の割に重いです)。

また、ベッド横に設置して立ち上がりの補助に使う場合は、ベースプレートをベッド下に差し込むか、立ち上がる本人がベースプレート上で立ち上がるので、こちらも倒れる心配はありません。

手すりをベッドサイドへ設置

このように、正しく使えば非常に安全でありながら簡単に取り付けられるので、立ち上がりや歩行に不安のある高齢者への転倒対策にはピッタリの製品です。

突っ張り型手すり

2つ目は、床と天井の間を突っ張る縦手すりです。床と天井それぞれの設置面は滑り止め素材になっており、そこを接着させて手すりを安定させているので、大柄の男性がもたれたり、引っ張ってもズレることはありません。

壁や柱がなくとも、床と天井さえあれば対象者に必要な場所に設置することができます。
天井が不安定な場所や風呂場などの床が濡れている場所以外はほとんどの住宅内で設置が可能です。

1本では縦手すりの使用法になるため、つかまり立ちや段差をまたぐ時の支えとして有効です。

また、こちらの手すりは2本を連結できる商品もあります。こうすることで、壁に面していない場所でも横手すりの要領で伝い歩きが可能になります。
しかも、未使用時には横手すりの介助バーを跳ね上げて収納できるので、ご家族の動線を邪魔することはありません。このように、非常に用途や場所のバラエティに富んだタイプの手すりになります。

連結型の突っ張り型手すり

まとめ

今回は、介護保険を利用してレンタル可能な福祉用具『手すり編』を紹介しました。置き型、突っ張り型ともに、設置場所を選ばないことと、高さ調整が安易という、利用者それぞれに応じた使用が可能という利点があります。また、柱や壁を傷つけないので借家でも利用が可能です。これから手すりの設置を検討する際は、福祉用具の手すりも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

この記事を監修しました

岡川 修士

岡川 修士 / 理学療法士・福祉住環境コーディネーター2級・地域ケア会議推進リーダー・介護予防推進リーダー

2010年に理学療法士として入職した病院では、急性期〜回復期のリハビリテーションに加え、住民対象の介護予防事業に携わっていた。現在は、訪問看護ステーションかすたねっとにて、訪問リハビリに従事する傍ら(株)Magic Shieldsのコラムを担当している。

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