目次
「高齢者の転倒事故が増えていて、なんとか防ぐ方法を考えたい」と思っている介護事業者・在宅介護者は多いと思います。
転倒事故により、要介護度が上がると生活の質が落ちてしまったり、介護者の負担が増えてしまったりするため、できるだけ転倒事故は防いでいきたいものです。
そこで、この記事では、高齢者の転倒事故の発症原因から考えられる、それぞれの対策方法を解説していきます。
また、さらに転倒対策を強化する3つの方法も紹介していきますので、ぜひご覧ください。
高齢者の転倒事故の発症原因は?
公益財団法人長寿化学振興財団「健康長寿ネット‐転倒・骨折予防の取り組み」の「救急搬送データから見る高齢者の事故」には、65歳以上の方が救急搬送される原因の8割がころぶ事故によるものであるということが記載されています。
データからも、高齢者の転倒事故は、救急搬送される原因の中でも半分以上の割合を占めていることがわかります。
つまり、高齢者の日常生活において、転倒事故は起きやすいものであるということです。
介護施設や自宅で起きやすい転倒事故ですが、なぜ高齢者は転んでしまうのでしょうか?
それには、大きくわけて3つの原因があるといわれています。
そこで、ここからは高齢者の転倒事故が発症してしまう3つの原因について詳しく解説していきます。
身体的な要因
高齢者の身体的な要因で、転倒事故に繋がってしまうとは一体どういうことなのでしょうか?
具体的には、以下のような身体的要因が挙げられます。
- 加齢による視力低下で周囲の状況が掴めないまま歩いて転倒してしまう(危険認知能力の低下)
- バランスの低下により、歩行の途中でバランスを崩してしまう
- 足首の関節が硬く、大きく踏み出すことしかできず姿勢を直せない
疾患やなんらかの身体の状態により、安全に歩行することが困難になってしまい、結果転倒事故を起こしてしまうということもあります。
こういった場合には、高齢者の身体の状態に合った対策を考える必要があるでしょう。
心理的な要因
高齢者の心理的な要因が理由で、転倒事故を起こしてしまうこともあります。
心理的な要因による転倒事故の例は以下です。
- 認知症症状により自身の状況が把握できず歩き回ってしまう
- 不安感が強く、焦って転倒してしまう
- イライラして暴れているうちにバランスを崩し、転んでしまう
上記のように、不安感やイライラする気持ちから心が不穏になり、歩きまわった結果転倒事故に繋がってしまうというケースもあります。
また、認知症の症状により、落ち着かず、転倒事故が発生してしまうことも。
心理的な要因で転倒事故が起きた場合の対策としては、なぜ不穏になってしまうのかを考え、落ち着いてもらえるようなアプローチ方法を考えていくことが大切です。
環境的な要因
環境的な要因の転倒事故とは、高齢者の生活している環境のことを指します。
例えば、以下のような生活環境であると転倒リスクが高くなる可能性があります。
- 滑りやすい床
- 急な階段
- 狭い道
- つかまりどころが少ない廊下
- 使いにくいトイレ
- ベッドの位置が高すぎる
高齢者が過ごしにくいような環境で生活することにより、転倒リスクも高くなってしまいます。
上記に当てはまるような環境であるなら、改善していく必要があるでしょう。
【原因別】高齢者の転倒事故の対策3選!
高齢者の転倒事故は、起こった後の対応よりもいかにして予防するかが大切です。
転倒事故により、入院や骨折などの影響でADLが著しく低下するケースもあるからです。
そこで、ここからは高齢者の事故の要因別に、対策方法を解説していきます。
身体的要因で事故に繋がる場合|運動の習慣化・自立支援を意識する
身体的な要因で転倒事故を起こしてしまう場合、対策として挙げたいのがリハビリの強化です。
1日1回体操や歩行の時間をつくり実施するなど、積極的に運動をする習慣を取り入れていきましょう。
運動の習慣を取り入れていくことで、身体機能維持・向上を図ることができます。
また、高齢者の全ての動作を介護者が代わりに行うのではなく、本人のできることはしてもらい、できない部分だけサポートするという自立支援の視点を持つことも大切です。
高齢者にご自身ができることを継続して行ってもらうことも、身体機能の衰えを防止になるため、転倒事故防止に繋がります。
心理的な要因で事故に繋がる場合|アセスメント・人員配置を見直す
高齢者の心理的な要因で事故に繋がる場合は、それに対する介護ケアを考えていく必要があります。
例えば、不安が強く、落ち着かないため歩きまわり、疲れて転倒してしまう高齢者がいるとします。
そういった場合、まず落ち着いてもらえるようなアプローチを考えていくことが大切です。
対象の高齢者の性格や疾患を踏まえながら、その人に合った対応方法を考えていきましょう。
介護施設内のできごとであれば、スタッフみんなで話し合うのも良いかもしれません。
話し合い、対応方法を導き出した後は、スタッフ間で共有し、対応の統一化を図りましょう。
また、忙しすぎてゆっくりと対応できないという場合には、スタッフの焦る気持ちが高齢者に伝染してしまっている可能性もあります。
そういった場合には、人員配置を見直し、転倒が多い時間帯にスタッフ数を増やすなどの工夫をしていくことが必要です。
環境的な要因で事故に繋がる場合|環境整備・バリアフリー化
環境的な要因で転倒事故に繋がってしまう場合には、その生活環境を改善していく必要があります。
例えば、バリアフリー化して手すりをつけたり、スロープをつけたりするなどの対策が挙げられます。
生活環境の中で、どこに危険ゾーンがあるかを再確認し、対策を考えていきましょう。
同じ場所で複数、転倒事故が続く場合は環境が原因である可能性が高いです。
事故報告書を確認し、転倒が多い場所をピックアップしてみるのも対策に繋がるかもしれません。
高齢者の転倒事故の対策をさらに強化する3つの方法
上記では、転倒事故の原因それぞれの対策を紹介してきましたが、「挙げられた対策は実施しているけど、どうも転倒事故率が変わらない気がする、または手ごたえがない」という方もいるかもしれません。
そういった場合には、転倒事故防止に役立つ商品の購入を検討することで、さらなる対策強化が期待できる可能性があります。
そこで、ここからは高齢者の転倒事故の対策を「さらに強化する3つの方法」を解説していきます。
見守り機器導入を検討する
見守り不足による転倒が多い場合、見守り機器の導入を検討するというのもひとつの手です。
見守り機器は、多くの介護施設で導入されている介護ロボットの中の一つです。
さまざまなタイプの見守り機器が販売されていますが、中でも居室内にカメラを設置し、パソコンなどで各居室の状況が一括確認できるタイプのものがおすすめです。
各居室の状況把握ができる見守り機器であれば、転倒しそうな状況を即座に把握し、防ぐことができるかもしれません。
また、転倒後、すぐに確認することができるため早期対応にも繋がります。
合う歩行器を利用する
歩行器は、現在さまざまなものがありますが、高齢者に合っていないものを使ってしまうと逆に転倒事故の原因になってしまうことも。
歩行器を使用する際には、まず高齢者の状況に合ったものを探すことが大切です。
歩行器はものによっては、福祉用具貸与サービスとして介護保険を使うことができるため、自己負担額1〜3割程度でレンタルや購入できる場合があります。
安全に使い続けられるような歩行器を利用したい場合には、ケアマネージャーに相談してみましょう。
転倒事故の対策になるような商品導入を検討する
転倒事故の対策を考えるなら、手すりやスロープなどのバリアフリー化も大切ですが、床素材やマットにも着目したいところです。
転倒事故そのものを予防するのはもちろんですが、万が一転んでしまった際にも骨折をしないように対策するという視点を持つことも大切です。
歩くときには安定している、転んだときには柔らかくなり、転倒の衝撃を吸収してくれるような床素材が理想的であるといえます。
高齢者の転倒事故対策を実施し、安全に生活できる環境を提供しよう!
高齢者の生活の安全を守りたいと思ったら、大切なのは転倒予防の対策です。
予防策を実施するだけで、転倒事故の骨折や入院による生活の質やADLの低下を防ぐことができる可能性があります。
また、転倒予防を考えたいなら、おすすめなのが安全な床・衝撃吸収マットの導入です。
特に転倒予防に特化した床・マットで知られる「ころやわ」なら、歩くときは硬く、転倒時には柔らかい床で転倒による骨折などを多方面から防ぐことができます。転倒事故対策を積極的に取り入れ、高齢者が安全に生活できる環境を整えていきましょう。