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高齢の家族がいると「いつか介護で困る日が来るかも…」と心配になることもあると思います。
介護に困ってしまったときに、焦って色々なことを考えても、不安や心配な気持ちでいっぱいになり、なかなか話が進まないということもあるかもしれません。
そうならないためにも、介護に困ったときに相談できる機関は事前に把握しておきたいものです。
そこで、この記事では、介護に困ったときに相談できる機関や介護サービスを利用するときの手順などを解説していきます。
また、筆者が過去に関わった「介護に困ってしまったというご家族の事例」も紹介していきますので、ぜひご覧ください。
介護に困ってしまうご家族の事例
高齢の家族の介護について困ってしまうときは、突然やってきます。
事前準備のない状態であれば、なおさら混乱してしまうものです。
ここからは、過去、筆者の元に来た「介護に困ってしまったご家族の事例」を3つ紹介していきます。
事例1:認知症症状を疑うようになった
Yさんは、高齢の義父Tさん(86歳)と夫との3人暮らしをしています。
義父はもともと几帳面でお世話好きな性格でした。
しかし、ここ最近、在庫がたくさんあるものを新たに買い物してきてしまったり、帰宅の途中、道がわからなくなって家にたどり着けなかったりと、不可解な行動が増えるようになりました。
会話をしていても、Tさんから同じことを何度も聞かれることが多くなったのです。
Tさんの認知症を疑っているYさんですが、夫は「大袈裟だろう」と取り合ってくれません。
こんなときに誰かに相談できればよいのですが、どこに相談したら良いかわからず悶々とする日々を過ごしています。
事例2:だんだんと介護の負担が増えてきた
デイサービスを利用しながら、実母Eさん(80歳)を自宅で介護していたAさん。
ある日、家で転倒したことがきっかけでEさんは自分で体を動かすことが難しくなってしまいました。
杖やときどき車椅子を利用し、デイサービスは引き続き通っていますが、家に帰ってくると以前よりもEさんの介護をする時間が増えてしまいました。
体がうまく動かなくなってしまったことで排泄などがうまくできなくなり、介護の負担が増えてしまったのです。
しかし、要介護度は未だに2で、使える介護サービスには限りがあります。
どうしたものかと悩む日々でした。
事例3:遠方に親の火の不始末があったため心配
Rさんには、一人暮らしの父親がいます。
遠方に住んでおり、すぐに駆けつけられませんが、これまでは問題なく一人暮らしの生活をしていました。
しかし、最近、父がコンロの火を消し忘れ、不始末があったらしく、ご近所の方が心配をしてRさんの元に連絡をくれたのです。
大事には至らなかったものの、次同じことがあったら…と心配するRさん。
しかし、さまざまな事情から同居することはできません。
心配ながらもどうしたらよいかわからないとRさんは言います。
介護に困ったときに相談できる機関
上記の事例1~3は、よくあるケースです。
急に介護に困ったとき、焦らないように相談できる機関が事前に把握しておきたいものだと思います。
そこで、ここからは介護に困ったときに相談できる機関4つを解説していきます。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、地域の高齢者やその家族が安心して暮らせるために設けられた機関です。
市町村が主体となっており、保健師や社会福祉士、主任ケアマネージャーなどがチームとなって必要な支援をしながら、高齢者が安心できる暮らしを守っています。
介護に関しての相談対応も行っているため、高齢の方の生活で困ったことがあれば問い合わせてみるのも良いでしょう。
特に、事例3のような遠方に高齢の家族がいて心配というような場合は、高齢者の住む地域の地域包括支援センターに相談してみるのがおすすめです。
社会福祉協議会
社会福祉協議会は、高齢者のことだけでなく、子供から高齢者まで社会の福祉全般に関する相談ができる機関です。
介護面については、介護保険サービスの申請方法や介護の不安などさまざまなことを相談することができます。
相談したい場合は、お住まいの市町村の社会福祉協議会に問い合わせをするようにしましょう。
ケアプランセンター
ケアプランセンターは、要介護認定の手続きなどを代行してくれたり、ケアプランを作成して介護サービスの方向性を決めてくれたりする機関のことです。
これから、要介護認定を受けたい、または介護サービスを利用したいと思う方はケアプランセンターに行くのが近道かもしれません。
特に、事例2のように、すでに介護サービスを利用しており、更に介護に困ってしまっているという場合には、ケアプランセンターのケアマネージャーに相談するのが良いでしょう。
相談する場合には、困っていることや現状を整理し、わかりやすく伝えるようにすると良いでしょう。
高齢者を対象としている病院
要介護認定を受けたい場合、事前の受診も大切です。
医師の意見書が必要になる他、認知症診断がされているかされていないかで要介護度に大きく影響が出る場合もあるからです。
特に、事例1のように高齢の家族に認知症の疑いがある場合には、まず認知症診断に対応している病院に受診すると良いでしょう。
また、高齢の方が受診を嫌がる場合もあるかもしれません。
そういったときには、事前に病院にその旨を相談しておくようにしましょう。
高齢の方を対象とした病院は、そういった事例に慣れており、事前に相談しておくことで本人が受診を嫌がっても、上手に話しが進むように協力してくれる可能性があります。
介護サービスを利用したいときの手順
介護サービスを利用したいとき、どのような手順を踏めば良いのかわからないという方もいると思います。
そこで、ここからは、介護サービスを利用したいときの手順を解説していきます。
1:家族や身内に現状を報告・相談する
介護に困ったとき、最初にやっておきたいのが家族・身内間での共有です。
高齢の方のことで悩むと、いち早く要介護認定を申請したり受診したりと動きたくなるものかもしれません。
しかし、誰か一人の判断で話を進めてしまうと後々、家族・身内間のトラブルに発展してしまう可能性があります。
また、家族・身内に状況を伝えたとしても、深刻さがわかってもらえないと、歯がゆい気持ちになってしまうものです。
そういったときにも、すぐに感情的になったり諦めたりするのではなく、協力者を探したり粘り強く状況を伝えたりして、家族・身内を介護に巻き込んでいくことが大切です。
2:地域包括支援センターなどに相談する
「どこに相談しよう」と迷ったら、一番確実なのは地域包括支援センターです。
地域包括支援センターは、ケアマネージャーや社会福祉士が常駐しており、介護全般の相談に乗ってくれます。
介護保険サービスの利用がしたい場合にも、必要な手続きを案内してくれるため、スムーズに話を進めることができるでしょう。
3:必要に応じて病院受診する
要介護認定を申請する際、病院を受診して医師からの意見書をもらう必要があります。
ケアプランセンターで要介護認定の申請手続きなどをケアマネージャーが代行してくれたとしても、医師の意見書だけは高齢者とご家族でお願いしに行きます。
また、認知症の疑いがあるときには、なおさら早めに受診しておきたいところです。
介護サービスの利用を検討している場合には、早めに病院受診を済ませていくようにしましょう。
4:要介護認定の申請を行う
介護サービスを利用したい場合には、要介護認定が必要です。
要介護認定の申請は区役所などでも可能ですが、手続きを代行してくれるケアプランセンターに最初から行ったほうがスムーズかもしれません。
ケアプランセンターに行ったら、ケアマネージャーなどの助言に従い必要書類を揃えるようにしましょう。
5:ケアマネージャーに状況を説明し、対象の方に合った介護サービスの利用をする
要介護度が決定したら、受けられる介護サービスも明確になります。
担当ケアマネージャーに高齢の家族の生活状況や困りごとなどを伝えるようにしましょう。
ここで大切なのは、ケアマネージャーにわかりやすくはっきりと伝えるということです。
状況や困っていること、受けたい介護サービスなどを家族間で事前に相談し、伝えるとスムーズです。
介護に困ってどうすればよいか迷ったら、地域包括支援センターに相談しよう!
記事内でも触れましたが、介護に困ったときには、地域包括支援センターに相談するのが確実です。
困って相談場所がわからないというときには、まず地域包括支援センターに行くようにしましょう。
しかし、地域包括支援センターのスタッフは忙しいことも多く、突然行ってもすぐに対応してもらえない可能性もあります。
行く前に必ず電話連絡などでアポイントメントを取り、時間を空けておいてもらうとスムーズです。
相談できる機関をしっかりと把握し、無理なく高齢の家族をサポートできる環境を整えていきましょう。