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《Column vol.27》骨粗鬆症マネージャーとは?

《Column vol.27》骨粗鬆症マネージャーとは?

骨粗鬆症マネージャーという資格はご存じでしょうか?

日本骨粗鬆症学会が定める資格であり、より一層充実した骨粗鬆症の予防、診断と治療とを提供し、また広く社会啓発活動を行うことで、超高齢社会における健康格差の縮小と健康寿命の延伸に貢献することを目指し、学会として「骨粗鬆症リエゾンサービス」(Osteoporosis Liaison Service、OLS)の役割を担う、骨粗鬆症に関する知識を有するメディカルスタッフを専門スタッフとして認定する制度です。

資格取得者は4,483名(2024年4月1日現在)であり、各資格の内訳はこちらとなります。

資格取得者は看護師が最も多く、その次に理学療法士、薬剤師と順になっております。

骨粗鬆症マネージャー資格取得後の活動において、骨粗鬆症マネージャーへのアンケート調査にて、新しく始めた活動で多かった内容が社会的啓発活動、生活指導、検査結果説明などが報告されています。

ただし、骨粗鬆症マネージャー資格を取得しても、骨粗鬆症マネージャーだけでは骨粗鬆症リエゾンサービスは行えません。また、メディカルスタッフは独自で骨粗鬆症の評価や治療薬の処方などが行えません。

さらに、骨粗鬆症マネージャーのアンケート調査では、「骨粗鬆症リエゾンサービス活動において障害になるものは」という内容では、2018年、2020年、2022年のいずれも「時間がない」、「人手不足」、「他スタッフの理解」という結果でした。これらの結果を踏まえても、骨粗鬆症リエゾンサービスを行う上で、骨粗鬆症マネージャーだけでなく、医師を始めとした看護師、メディカルスタッフとの協業が必要です。

その中で、骨粗鬆症マネージャーは診療報酬に新設された二次性骨折予防継続管理料の運営や骨粗鬆症リエゾンサービスの運営において、施設内で頼られる存在になると思います。

骨粗鬆症マネージャーの受験資格

◎日本骨粗鬆症学会会員であること
◎病院・診療所・介護サービス施設/事業所・薬局・臨床検査センター・自治体・保健所・教育機関などに所属して実際に医療・保健・教育活動に従事し、以下①・②のいずれかに該当する者

 ①次のいずれかの国家資格を有する。
  1)保健師、2)助産師、3)看護師、4)診療放射線技師、5)臨床検査技師、6)理学療法士、
  7)作業療法士、8)臨床工学技士、9)言語聴覚士、10)薬剤師、11)管理栄養士、
  12)社会福祉士、13)介護福祉士、14)精神保健福祉士、15)視能訓練士、16)歯科衛生士
 ②日本骨粗鬆症学会の評議員で、医師・歯科医師以外の者

◎過去3年以内に日本骨粗鬆症学会が実施する骨粗鬆症マネージャーレクチャーコースを1回以上受講していること
◎過去3年以内に日本骨粗鬆症学会学術集会に1回以上参加していること


の全ての条件を有することが必要です。

試験は年に1回の筆記試験が行われます。

なお、上記の骨粗鬆症マネージャーレクチャーコースはとても人気で申し込み開始日には定員に達し、申し込み終了となりますので、ご希望の方は早めの申し込みが必要です。

また、資格取得後は5年に1回の頻度で資格更新が必要になります。

日本骨粗鬆症学会では、年に1回、OLS活動奨励賞という賞を制定しています。これは、OLS活動における優れた成果を示した活動に対して、その活動を奨励することを目的としており、この応募は骨粗鬆症マネージャー資格を有する者が自薦して行うものです。私も過去にこのOLS活動奨励賞を受賞し、学術大会内で表彰されました。

現時点(2024年7月)では、骨粗鬆症マネージャー資格を取得による診療報酬算定などの影響はありません。しかし、骨粗鬆症リエゾンサービス活動を担うための役割や資格取得のための勉強を行う中で、骨粗鬆症の疫学、評価、治療など他職種が行う活動など様々な内容が理解できます。

骨粗鬆症マネージャーレクチャーコースの申し込み状況からもこれから益々、資格取得者が増えていく人気の資格だと思います。

資格取得後の活動

私は2022年に骨粗鬆症マネージャー資格を取得しました。資格を取得して、院内でのOLSの発足や運営を行っています。今思い返すと、前勤務先では骨粗鬆症マネージャー資格がOLS活動の必須資格ではなかったように感じます。

しかし、現勤務先では骨粗鬆症マネージャー資格を取得していたことがOLSの発足・運営につながったと感じています。これは、骨粗鬆症マネージャー資格がOLSを行う上での他職種へのアピールになったと思っております。また、自身の自己研鑽で参加する研修会や学術大会にて少しずつ骨粗鬆症マネージャーの仲間が増えました。

その結果、所属する東京都立病院機構内の複数施設で他職種による連絡・相談が行える仲間ができました。さらに、その仲間の一部は所属以外の他施設連携が行えるようになり、現在は年に数回のWEB研修や情報交換だけでなく、誘い合って研修会に参加するなど一緒に自己研鑽を行う仲間ができ、自身のモチベーション向上につながっています。

<参考文献>
・日本骨粗鬆症学会ホームページ: http://www.josteo.com/ja/liaison/authorization/rule.html
・中藤真一 他:骨粗鬆症リエゾンサービスの現状と課題─骨粗鬆症マネージャーのアンケート調査から─ The Journal of Japan Osteoporosis Society   Vol.4  No.4 ,137-145,2018
・中藤真一 他:骨粗鬆症リエゾンサービスの現状と課題─骨粗鬆症マネージャーへの3回のアンケート調査の比較─  The Journal of Japan Osteoporosis Society   Vol.9  No.4 ,67-75, 2023

この記事を監修しました

栗田 慎也

栗田 慎也 / 東京都立病院機構 東京都立大久保病院 リハビリテーション科 主任 / 理学療法士・骨粗鬆症マネージャー・認定理学療法士(運動器・脳卒中・神経筋疾患・疼痛管理)

2009年に理学療法士として、急性期病院や回復期リハビリテーション病院での勤務に加えて、非常勤として整形外科クリニックで勤務経験あり。2022年に日本骨粗鬆症学会が定める骨粗鬆症マネージャーを資格取得し、日々患者さんへの骨粗鬆症の治療啓発を行っている。また、勤務した2施設でInternational Osteoporosis Foundation(IOF)でSilver Standard(銀賞)を受賞している。

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