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介護施設や家で転倒する原因は?予防の方法やおすすめ福祉用具も紹介《Column vol.37》

介護施設や家で転倒する原因は?予防の方法やおすすめ福祉用具も紹介《Column vol.37》

介護施設や家で介護をしていると心配なのは転倒事故でしょう。
高齢者の生活力を維持するためにも、できるだけ身体機能が低下する原因となる転倒事故は避けたいところです。

しかし、高齢者の転倒事故は毎年多発しています。
高齢者の残存機能を維持するためにも、転倒予防についての知識は積極的に取り入れていきたいところだと思います。

そこで、この記事では、介護施設や家で転倒する原因と、予防方法について解説していきます。
また、転倒予防におすすめの福祉用具も紹介していきますので、ぜひご覧ください。

転倒の原因は?

高齢者の転倒を防止するために、その原因となりうる要因があれば予め把握しておきたいところです。

政府広報オンライン「たった一度の転倒で寝たきりになることも。転倒事故の起こりやすい箇所は?」でも、寝たきりに繋がってしまう転倒の原因を紹介しています。

そこで、ここからは高齢者が介護施設や家で転倒してしまう大きな原因4つを上記の記事内容を引用しながら解説していきます。

出典:政府広報オンライン「たった一度の転倒で寝たきりになることも。転倒事故の起こりやすい箇所は?」

身体機能・筋力が低下している

まず一つ目に考えられる転倒の原因は、高齢者の身体機能や筋力の低下です。

高齢になると、若いころに比べ身体機能が低下し、筋力もおちてきますので、それらが原因でバランスがとれなくなったり、反射的防御動作をするための瞬発力がなくなったりします。

その他、持久力や柔軟性も衰えてしまうなど、全体的に身体機能が低下します。また、自分自身の予測・期待する動作と現実の動作との間に齟齬が生まれて転倒を引き起こすことがあります。

病気や薬の副作用の影響によるもの

病気の影響で転倒しやすくなってしまうケースも考えられます。例えば脳梗塞の影響により、半身麻痺等の症状があると歩行のバランスがとりにくくなり、転倒しやすくなることがあります。

病気の進行により、身体の機能に影響が出るとさらに転倒に繋がりやすいです。

また、精神疾患や認知症などの症状により気持ちが落ち着かなくなり転倒に繋がってしまうケースもその他、病気により飲んでいる薬の副作用でふらつきなどの症状があると転倒に繋がってしまう可能性があります。

心理的なもの

高齢者の気持ちが落ち着かないことも転倒の原因になる可能性があります。

認知症や精神疾患を患っていなくても、元々不安感が強かったり、気分にムラがあったりする方であれば、気持ちの乱れから不必要に歩き回り転倒に繋がってしまうことも。

特に、身体機能が衰えている状態であれば、なおさら転倒しやすいので注意が必要です。
また、加齢による体の衰えや病気、喪失感など、なんらかの原因で気持ち的に落ち込んでしまい、自宅で閉じこもりがちになることもあるでしょう。

閉じこもりになったことが原因で日常的な身体活動が減少して、運動機能や感覚機能が弱まり、その結果、転倒のリスクが高まってしまうのです。
このように高齢者の転倒の原因は、身体的なことはもちろんのこと、心理的なことも複雑に絡まっているということがわかります。

環境的な要因がある

転倒しやすいような環境であると、予防が難しくなります。
例えば以下のような環境であれば注意が必要です。

  • ・物が多い、つまづきやすいものがある
  • ・転びやすい、滑りやすい床である
  • ・使いにくいトイレや浴室である
  • ・つかまる場所がない

転倒を予防するなら、環境の改善も大切です。

上記に当てはまる場合には、福祉用具を揃えたり床を変えたりするなどして、環境の改善を検討していきましょう。

転倒を予防する方法

高齢者の生活を守るために転倒事故を防ぐことは大切です。生活の質を維持していくためにも、転倒事故を予防する方法を心がけて実践していきましょう。

そこで、ここからは高齢者の転倒を予防する方法を3つ解説していきます。

身体機能を維持するための運動を行う

まず、実践していきたいのは身体機能や残存機能維持のための運動です。
地域で実施しているような高齢者向けのサロンやイベントがあれば積極的に参加していきましょう。

要支援・要介護度がついているのであれば、訪問リハビリやデイサービスの利用を検討してみるのも良いかもしれません。

簡単な動きでも良いので、体を動かす習慣をつけていくことが重要です。

高齢者自身が運動をあまり好まない場合は無理強いせず、家でできる簡単な体操や散歩などに誘ってみるのがおすすめです。

また、体操の番組を放送している時間帯にテレビをつけておくと自然に実施してくれる可能性もあるため、ぜひ試してみてください。

安心して生活できるような関わりをする

高齢者が転倒してしまう理由の一つが「不安」です。
特に認知症や精神疾患を患っていると漠然とした不安に襲われることも。

ご自身の身体の状態を理解できないまま、不安な気持ちから無理な体制で動こうとしたり、歩き回ったりすることもあります。

ご本人が「不安になっている」と気づいたら、怒ったり注意したりするのではなく、まずはゆっくりと話しを聞いてあげましょう。

また、ご本人が不安になりそうな要因を先回りして取り除いてあげることもおすすめです。

例えば、「一人になるのが不安」との思いが強い高齢者であれば、介護する側の人が近くを離れるときに「どういった用で離れるか、いつまで離れるか、離れている間どうしてほしいか」を具体的にご本人に説明するようにしましょう。

説明してもご本人が忘れてしまう場合は、紙に書いてみると良いかもしれません。
してほしいことや行動の目的を丁寧に説明して、ご本人の不安を取り除いてあげましょう。

生活する環境を整える

転倒予防と生活環境の繋がりは深いです。

生活環境が整っていれば転倒を防ぐことに繋がります。

特に以下の部分に着目してみてください。

  • ・本人が体制を保持するためにつかまる場所はあるか
  • ・椅子や机の高さは適切か
  • ・段差は少ないか
  • ・トイレや浴室は使いやすいか
  • ・歩きやすい床であるか

大切なのは高齢者が過ごしやすい環境であることです。
最近では、上記生活環境の問題を解決してくれる便利な福祉用具が多く存在します。

次の章で詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

おすすめ福祉用具は?

転倒を予防するために生活環境を見直すことも大切です。

特に、家で高齢者の介護をする場合には、生活の質を維持するため、できるだけその低下を防止するための転倒予防グッズを取り入れていきたいところです。

ここからは、転倒予防に効果が期待できるおすすめ福祉用具を紹介していきます。

歩行器

転倒予防として良く使われるのが歩行器です。

使用することで安定して歩行ができるため、行動範囲を広げられるのがメリットです。

折り畳み式や物が入れられるタイプのものもあります。
価格相場は数千円〜数万円までさまざまです。

介護保険を使って福祉用具としてレンタルすることも可能なので、利用したい場合はケアマネージャーなどに相談してみましょう。

手すり

歩行や動作をする際のバランス保持に大切な役割を果たしてくれるのが手すりです。

介護施設には手すりが用意されていることが多いですが、普通の家庭には備え付けられていないことが多いです。つかまる場所がないことで立ち上がろうとしたときなどに、バランスを崩し転倒してしまうこともあります。

そこで、おすすめなのが高齢者がつかまるための「つかまり棒」です。
つかまり棒は置き型と突っ張り型の2種類があります。

ベッドやお風呂場、階段や廊下、玄関やトイレなど、動作の際にバランスを崩す可能性がある場所に予め設置しておくと転倒事故を未然に防ぐことが可能です。

杖は歩行器ほど安定感はないものの、嵩張らず家にも置きやすいのがメリットです。

また4点式のものを使えば、普通の杖よりも安定的に歩行することが可能です。

福祉用具としての杖も介護保険を利用すれば1〜2割負担でレンタルできる可能性があるため、使用したい場合はケアマネージャーに相談してみるのがおすすめです。

衝撃吸収床・衝撃吸収マット

転倒予防は転倒そのものの予防のみならず、転倒後の怪我を最小限にすることも重要です。
安全な床は生活においても重要であるため、床に不安がある場合は特に着目していきたいところです。

また、床やマットの導入を検討するなら、転倒による骨折などの防止が期待できる「ころやわ」が特におすすめです。

歩いているときには硬く、転んだときには柔らかく衝撃を吸収してくれる「ころやわ」なら、高齢者の安全な歩行と、転んだときの骨折予防の両方が実現できます。

安全性の高い衝撃吸収床や衝撃吸収マットを積極的に導入し、介護施設や家での転倒予防をを図っていきましょう。

まとめ

高齢者の転倒を防止するためには、まず要因を知り、そこを解決していく必要があります。
介護施設や家での転倒を防ぐためにも、転倒に繋がりやすい要因をまずは分析することから始めましょう。

記事内でも説明した通り、転倒予防に特に効果的なのが生活環境の改善です。
生活環境の改善であれば、介護者の負担なく変えることができるため、積極的に取り入れていきましょう。

また、マジックシールズでは、転倒予防に関するさまざまなセミナーを実施しています。
介護・医療現場のお役立ち知識を発信しており、過去のセミナーのアーカイブも掲載しておりますので、気になる方はぜひこちらからチェックしてみてください。

この記事を監修しました

中村 亜美

中村 亜美 / 介護福祉士・フリーライター

専門学校の卒業と同時に介護福祉士を取得し、そこから計12年程、特別養護老人ホームで介護スタッフとして勤務。現在は、フリーライターとして、在宅介護者や介護スタッフ、事業者向けのコラムなどを執筆している。(株)Magic Shieldsのコラムでは、介護施設内の課題解決などに着目し、経験を踏まえながらわかりやすい記事の作成を目指している。

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