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「介護現場で利用者様にかけられる時間が少ない」「スタッフの負担が重すぎて 離職につながってしまう」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
業務がスムーズに進まないのは、無駄な時間が多い可能性もあります。
必要なサービスやケアに対して、十分に時間が使えない環境で運営を続けてしまえば、サービスの満足度を上げられなくなってしまうでしょう。
そこで、この記事では、介護現場でできる業務効率化のアイデア5選や効率化に成功した体験談、大切なポイントなどを紹介していきます。
記事を読めば、介護現場での業務効率化の方法がわかり、より質の高いサービス提供ができるようになるでしょう。
介護現場で効率化が必要な理由
介護現場で効率化が必要な理由は、大きくわけて3つあります。
ここからは、介護現場で効率化が必要な理由を3つ紹介していきます。
人手不足の課題が多いため
介護現場で効率化が大切な理由は、業界内の人材不足の課題にあります。
スタッフの人手が足りないため、業務がまわらず、さらにスタッフ一人あたりの負担の重さから離職率が上がってしまうという悪循環に陥るケースも多いのが現状です。
ギリギリの人数で業務をまわしている場合は、なおさら業務の見直しをして無駄を省いていきたいところです。
業務内容の改善をし、働きやすい環境になれば離職率の低下にもつながります。
サービスの質向上のため
介護現場で業務効率化が必要な理由は、サービスの質を向上させるためです。
なぜなら、介護現場で効率化できると、時間のロスを抑え、優先すべき必要な介護ケアが提供できるようになるからです。
また、利用者様と関わる時間を増やすこともできるようになります。
介護現場は、時間がかかる業務が多いです。
例えば、シーツ交換や食器洗い、記録の記入など、介助以外で時間がかかる仕事も多いのが現状です。効率化により、そういった仕事にかける時間を短縮できると、より提供するサービスの質の向上につながるでしょう。
事故やトラブル防止のため
介護現場での事故やトラブル防止のために、業務効率化は有効です。なぜなら、効率化により余裕が生まれ、必要な見守りやサポートに時間を使うことができるようになるからです。
例えば、記録や掃除などに使っていた時間を短縮できると、それだけ利用者様の見守りに使える時間が増えます。
また、丁寧に対応できるようになるとクレームも減りますので、トラブルの防止にもなるでしょう。安全を守り、安心感ある介護ケアを実施するためにも、優先すべき仕事に時間を使えるように業務効率化を進めていきたいところです。
【元介護職員が提案】業務効率化アイデア5つ!
介護現場でサービスの質を上げるためにも、業務効率化は重要です。しかし、どのようなことをしたらよいのかわからないという人もいるのではないでしょうか。
ここからは、元介護職員の私が提案する、介護現場での業務効率化のアイデア5つを紹介していきます。
職場環境や動線を再検討する
介護現場の業務効率化のために職場環境や動線の見直しをしましょう。業務の動線含む、職場の環境は、業務効率化に大きく関わるからです。
例えば、死角が多い職場であればご利用者様の見守りがスムーズにできません。
理想的なのは、離れた場所にいても安全確認できるような環境です。
また、排泄や入浴などの介助は、利用者様の肌の露出が増えてしまう時間でもあります。
羞恥心に配慮し、迅速な介護ケアを行うためにも、時間短縮につながるような準備・対応の動線を考えていきたいところです。動線を見直し、対応時間や他の利用者様の待ち時間を減らすことでサービスの満足度アップにもつながります。
業務の中の課題をリストアップする
効率化を図るために、業務の中の課題をリストアップしていきましょう。効果的に改善策を出すために、まずは、課題を分析することが大切です。
業務スケジュールを書き出し、何に時間がかかっていて、どの時間に人手が足りないと感じるかを確認し合うとよいかもしれません。
毎日の業務に優先順位をつけていくと、削ってもいい時間が見えてきます。分析した結果から、スタッフ間で話し合いの機会を持ち、改善策を話し合ってみましょう。
マニュアルを作成、また定期的に見直す
業務効率化のために、業務改善をした後はそれをスタッフ間に浸透させていくことが大切です。なぜなら、せっかく業務改善を図っても、それが実践されていなければ意味がないからです。しかし、介護現場では、慣れたやり方を変えるというのが苦手な人もいます。
決めただけにならないよう、また新人の職員にも浸透していけるように、決まった内容はマニュアル化するようにしましょう。
ただし、介護現場は日々イレギュラーなことが起こり、状況が変化することも往々にしてあるため、その都度マニュアルを見直し、修正することが重要です。スタッフ全員が、効率よく業務を遂行できるようにするための工夫をしていきましょう。
介護ロボットや介護ソフトの導入を検討する
業務効率化のために、介護ロボットや介護ソフトを導入することもおすすめです。
介護施設にICTや介護ロボットを導入することで、効率化が進められるということは、昨今、色々なところで話題にあがっていると思います。
介護ロボットや介護ソフトで対応できる業務例は以下です。
【介護ロボット】
- ・見守りやコミュニケーション
- ・移乗介助
- ・入浴介助
- ・移動支援
【介護ソフト】
- ・請求や経営管理
- ・シフト作り
- ・記録の記入や情報の共有
- ・利用者様の情報管理
- ・スケジュール管理
- ・運営のためのデータ管理や分析
- ・ケアプランの作成・管理
全てをIT化する必要はありませんが、必要な部分をサポートしてもらうために導入するのは賢い選択肢ではないでしょうか。
介護に関連するIT機器は年々進化し続けています。
便利なものを上手く活用し、スタッフの業務負担を減らすための効率化につなげていきましょう。
シフトや業務量を調整する
バランスのよいシフトづくりや業務量の調整は、スタッフの業務負担の分散につながる大切な要素です。なぜなら、シフトのバランスが悪かったり、業務内容が勤務内に終わらないほどの量であったりすれば、スタッフ一人あたりの負担は重くなってしまうからです。スタッフによって負担感にバラつきがあるのも、避けなければなりません。
バランスのよいシフトづくりのためには、介護ソフトの導入を検討してみるのもよいでしょう。
介護ソフトの中には、AIが適切なシフトづくりをしてくれるものもあります。シフトづくりに疲弊していたという管理者や責任者の方には、特におすすめです。
また、業務量の調整については、仕事の内容を今一度スタッフ間で見直し、不要な業務はないか分析してみるようにしましょう。1日の業務スケジュールを書き出してみると課題をみつけやすいかもしれません。
介護施設で業務効率化に成功した体験談
私が介護職員として働いていたときに、介護施設で業務効率化を進めた経験があります。
それは、動線の改善です。
排泄介助や入浴介助を行う際の動線をスタッフ全員で見直しました。
例えば、必要物品の補充の時間を統一し不要な行き来を避けるようにしたり、排泄介助の準備から片付けまでの動線を考えたりということです。
排泄や入浴の介助時の動線は、物品を置く場所を変えたり、介助に入る前の準備物を見直したりして改善できました。
その結果、排泄や入浴にかかる時間が少し短縮できました。
また、「排泄や入浴介助に時間がかかりすぎて寒い」や「長い時間順番を待たされる」と言ったような、時間に関する利用者様やご家族からのクレームは減少しました。
ちょっとしたことではありますが、業務の無駄や優先すべき時間をスタッフ全員で見直していくことは、スタッフの意識づけにもつながります。
利用者様の生活の安全を守っていくため、また安心してサービスを使い続けていただくためにも、課題と向き合い協力し合いながら改善を目指していくことが大切だと感じました。
業務効率化の大切なポイント
介護施設で業務の効率化を図るうえで大切にすべきポイントがあります。ここからは、業務効率化の大切なポイントを解説していきます。
業務効率化の目的をはっきりさせる
業務効率化の目的は明確にし、更にそれがスタッフ間で共有できるとベストです。
なぜなら、目的への意識が曖昧であったり、バラバラだったりすると、何を効率化すべきかわからなくなってしまうためです。
例えば、スタッフの中に、業務効率化の目的を「仕事を楽するため」「利用者様と関わる時間を減らすため」と認識している人がいれば、スタッフ間のアクションにズレが生じてしまいます。
業務効率化の目的は、あくまでもサービスの質を向上させるためのものです。
その認識をスタッフ間で揃えておくことが大切です。
スタッフの意見も大切にする
業務効率化を進めるうえでは、スタッフの意見を大切にするようにしましょう。
なぜなら、現場で実際に業務を行うスタッフの肌感覚は、重要なポイントである可能性が高いからです。
スタッフからの意見がなかなかあがらなければ、「業務で無駄と感じる時間はある?」または、「優先すべき仕事ができないと感じることはある?」などと質問してみるのもよいかもしれません。
全ての意見を反映させる必要はありませんが、施設内で必要と思うことは一緒に改善策を考え、取り入れていくようにしましょう。
介護施設の業務効率化でサービスの質向上を目指そう!
介護施設の業務効率化は、利用者様やご家族に喜んでサービスを使っていただくためにも意味のあるものだと思います。
優先すべき介護ケアに集中できる環境は、スタッフのモチベーション向上にもつながりますので、ぜひ環境改善の検討をしてみてください。
また、福祉用具の導入も業務効率化の方法の一つです。
例えば、転倒・骨折のリスクを防ぐことができるマット・床の導入を検討してみるのもおすすめです。
介護現場で避けたい事故の一つが転倒ですが、転倒リスクの高い利用者様が施設内を行き来されると見守りに負担がかかりがちです。
また、万が一、見守り不足により転んで骨折につながった場合、ご家族からの信用を失ってしまうかもしれません。
「ころやわ」なら、歩いているときには硬く、転んだときには柔らかく吸収してくれるため、歩きやすい床で転倒予防になります。
また、万が一転倒してしまったときにも柔らかく衝撃を吸収してくれるため、骨折などを防いでくれます。
スタッフの介護負担軽減や利用者様の生活の安全につながる「ころやわ」などの導入を検討し、業務改善につながる職場環境を整えていきましょう。